取扱・使用上の注意
1. 先端パイプの取扱い
先端パイプはシャープの命と言っても良いくらい、大事な部分です。一度曲がってしまったら、元に戻すのは容易ではありませんのでご注意ください。
※もし先端パイプが曲がってしまったら、シャープの先を回しながら曲がっている方向をみつけ、その方向を下にして机で軽く叩いてみます。ただしやり過ぎない事が大事です。
2. 芯を出す量
芯は、出し過ぎない事がポイントです。出し過ぎると、芯が折れやすくなってしまいます。2回のノックで芯が1.2mm出るのが標準です。その後は1回ノックで十分です。
3. テーパー(先端金具)
テーパーが緩むと芯折れにつながるので注意しましょう。
4. ノックの向き
上向きでノックしても芯は出てきますが使っている(先端に出ている)芯を使い終わると出なくなります。芯タンクに入れられた予備の芯は重力によって繰り出し機構部に供給されます。上向きでは繰り出し機構部に芯が行かないため出なくなります。
5. 耐久性について
プラスチックも金属製も、チャックの耐久性はほとんど同じで、だいたい10万回以上のノックが可能です。ノック1回当り0.6mmが押し出される訳ですから、計算上、60mm芯を1,000本以上使用できる事になります。
計算上では、400字詰め原稿用紙で3万枚分の文字が書ける事になります。
(1000本×300m/本÷10m×400字=1千200文字)
6. 残芯について
シャープペンシルの構造は、先端パイプと芯を送り出すチャックとが離れているので、芯が短くなってチャックから離れてしまうと、しっかりとつかまれていない為に回ったりぐらぐらしたりします。一本当り平均10mm〜20mmの残芯があると言われています。
7. シャープペンシルに付いていたピンについて
以前は芯の強度が十分でなく折れることが多かったので、パイプ内に残った芯を取り除くためにクリーナーピンが付いていました。現在は、芯の強度があがり、折れにくくなったために必要がなくなっています。
8. ゴムチップの役割
テーパー内の先端パイプの後ろに、円筒状のゴムチップがはまっています。これは、ノック式シャープの大変重要な部品です。ノックをしてチャックが芯を押し出してリングが弾かれても、ゴムチップが無かったなら、芯は下向きにノックすると先端パイプより落下してしまいます。芯を先端パイプ側から入れると、ゴムチップが外れてしまう場合があるので注意が必要です。ゴムチップが外れてしまっていると、正常な量の芯がノックしても出ません。
シャープペンシルのトラブルの原因
1. 芯が出てこない
芯タンクにスペアー芯があるか確認してください。次に芯の太さを確認してください。0.5ミリシャープに0.7ミリ芯を入れても出てきません。「芯径」を確かめてみてください。あるいは、先端のパイプが曲がったりつぶれたりしていませんか? 落としたり打ち付けたりすると先端パイプが変形することがありますので、ご注意ください。折れた芯が詰まっている場合は先端円錐部を左に回して取り外し、先金とチャック部の芯かすを取り除いてください。
2. 芯が引っ込んでしまう
芯が短くなってチャックにかからなくなるとこの現象が起こります。芯がまだ長くチャックにかかっている状態でも引っ込んでしまう場合は、チャックの固定能力の不足で、チャック内面に芯かすが付いて滑りやすくなったりして起こることがあります。
3. 先端パイプの変形
落下等により先端パイプが変形することがあります。曲がると芯折れの原因に、つぶれると芯が出てこないことがありますのでご注意ください。
4. 芯がぐらつく
芯が短くなってチャックにかからなくなると、先端パイプ部のみで芯を保持していることになり、ぐらついてしまいます。長い状態ではパイプ部とチャックの2点で保持しているためぐらつきがありません。
5. 芯が折れやすい
先端の円錐部が緩んでいませんか? 緩んでいるとぐらついて折れることがあります。また、先端の金属パイプが曲がっていないか、確認してみてください。
シャープペンシルの雑学
1. ノック音がする理由
簡単に言うと、中のリングが弾かれて後ろの壁にぶつかる音、ということになります。だからカチカチ音は基本的な性能に関係はないのです。金属チャックの方が良い音がします。
プラスチックは、初めは音がするのですが、次第に弾く力が弱くなって小さくなります。
2. シャープペンシルの英語名
シャープペンシルは、シャープ(株)の創始者である早川 徳治さんの命名で、英語ではMechanical Pencils(メカニカルペンシル)と呼ばれます。日本ではシャーペン等といった愛称で、中学生前後の年齢層に特に親しまれています。
ちなみに、中国語ではシャープペンシルを自動鉛筆(ツートン・チェン・ピー)と言います。
3. シャープペンシルの種類
シャープペンシルには大きく分けると2種類あり、「ノック式」と「繰出し式」と呼ばれています。ノック式の中には、サイドノック式や自動ノック式等も含まれます。
4. シャープペンシルの歴史
一番古い形態、の繰出し式は1822年にイギリスのホーキンスとモーダンによって発案され、特許も取得されています。その後1838年にアメリカのキーランが「エバーシャープ」の名で発表した物が、実用筆記具のはしりといってもよいのではないでしょうか。
1877年に日本に輸入され、1915年には国産第一号の「常備シン尖鉛筆」が、早川金属(現在のシャープ(株))とカノエ万年筆より発売されました。
初のノック式は、1960年に国内メーカーが開発・発売しました。当時は0.9mmの芯のみであったため余り普及する事もなかったのですが、1962年に0.5mmの芯を開発し、広く一般に使われるようになったと言われています。日本語を書くには0.5mmがぴったりだったので、この様に普及したのです。
その後1962年にトンボ鉛筆でもノック式(H−300K:8900色、鉛筆型・H−500KS:金属軸)を発売し、1980年代になると¥100円シャープが現れ、大ヒットとなりました。
シャープ芯について
1. シャープ芯の歴史
1838年エバーシャープ発売以来、シャープ芯は黒鉛粘土(鉛筆芯と同じ)を使った、芯径1.0、1.5mm長さ30mm程度のものでした。しかし、1962年に0.5mmの合成樹脂芯が発売され、芯の技術革新が起こりました。
トンボは、黒鉛粘土芯「モノしん」で生産を行い、1961年にはシャープ芯JIS表示許可工場の認可を受けました。その後、1965年には合成樹脂芯「プラしん」を発売しました。
2. シャープ芯の原料
はじめは鉛筆芯と同様に、主原料である黒鉛と結合剤である粘土を焼結させたものでした。しかし、芯径を細くすると十分な強度が得られず、1.0、1.5mm程度のものでした。その後、細くて強い芯が求められ、有機物を焼いて結合剤とする製法が発見され、現在の高分子焼成芯が開発されました。原材料は黒鉛と高分子樹脂ですが、完成芯は樹脂が炭素化していますので炭素100%と言えます。
3. シャープ芯の作り方
シャープ芯は、「混合→混練→押出成型→焼成→浸油→切断→包装」 の工程を経て作られます。 原料の黒鉛と樹脂の親和性を高めるためにロールにより混練します。予備的な熱処理を行い、1200℃程度で焼成を行います。濃さ、滑らかさを付与する目的で油状物を浸透させ、一定寸法に切断しケースに入れてできあがり、です。
4. シャープ芯に求められる性能
1.濃く書けること
芯の粒子が細かく、紙の繊維の中にぴったりと密着し、定着するもの。
2.強いこと
筆記中に芯折れがないこと。
3.滑らかなこと
紙への引っ掛かりがなく、しっとりとした書き味
5. カラーシャープ芯について
カラーシャープ芯には2種類あります。色鉛筆と同じ、顔料・ワックス・樹脂を押し出し成型して作る非焼成芯と窒化硼素・タルク・雲母・粘土鉱物を成型し酸素雰囲気600〜1000℃で熱処理を行い白い芯を作り、白い芯に各色インキを含浸させた焼成芯です。非焼成芯は、書き味が柔らかですが強度が出ません。焼成芯は強度が高くなっていますがインキを含浸させるために多孔質になっているため、黒芯に比べると弱くなってしまいます。
6. 芯の種類
市場では、芯径が0.2、0.3、0.4、0.5、0.7、0.9mmの6種類、濃さは4B〜6H(4B、3B、2B、B、F、HB、H、2H、3H、4H、5H、6H)の12種類があります。トンボでは、芯径0.3、0.5、0.7、0.9mm、濃度3B〜2Hを用意しています。
7. シャープ芯と鉛筆の濃度について
JISでは、シャープ芯も鉛筆芯も、もともと同じ規格でした。しかし、国際規格ISOとの整合性を持たせるために、JIS規格を別々に制定したのです。濃度はもともと同じ範囲なので、ほぼ同等と見て良いと思います。
8. シャープ芯の0.3は、0.3mmより太い?
JIS規格によって「芯のよび」と「直径」が規定されています。0.3ミリ芯は厳密には平均で0.38ミリとなり、0.4ミリに近い太さになります。各メーカーはこの基準にのっとって製造しているので、どのシャープペンシルにも共用できるようになっています。
9. シャープ芯のエコ
エコマークやグリーン購入法では、芯の入った容器について規定されており、再生材(再生プラスチック又は再生紙)を使うことになっています。トンボでは、容器に再生プラスチックを使っていますが、さらに進めて芯にもリサイクル黒鉛を使用して資源の有効利用に努めています。
10. シャープ芯の長さと太さ
芯の太さはJISで決められています。長さについても推奨値が示されています。長さは、60mmが多いようです。